あおい とりの おもいで

photography of small blue and brown bird 未分類
Photo by Tina Nord on Pexels.com

いつのことだったでしょうか。
私の心のふるさとであり、青春であり、思い出でもある、青い鳥のSNSがなくなってしまいました。

いつか遠い将来、みんなが青い鳥のSNSを忘れてしまったとしても、決してそのことを忘れないために、ここに青い鳥のSNSと私との思い出を書き連ねておこうと思います。

ナウでヤングなころ

2009年10月。まだ私がナウなヤングだったころ。
当時運営していたとあるホームページにはアクセス解析を設置しており、日々「どこから来たか」、「なんて検索してきたか」をチェックしていました。

そんなとき、ある11文字が目に入ります。

その名も「twitter.com」。

そのサイトはまだ日本語化もされておらず、外国人と、新しい物好きな人が集まっていたようなところでした。
どうやら、その謎のサイトに自身が運営していたホームページのアドレスが貼られたようなのです。

まもなくして、それが「短文投稿SNS」という種類のサイトだと知ります。

ですが当時の自分は今で言うガラケーを使用しており、なおかつパケット定額も契約していない身分。
パソコンでしか利用できないSNSには興味がありませんでした。


それから数日。転機が訪れます。
iPhone 3GSというスマートフォンを手に入れたのです。
そう、「ビッグウェーブさん」と呼ばれるモヒカンの人がバズったあのスマートフォンの後継機です。

iPhoneの通信プランはパケット定額(しかもiPhone専用)しかありません。
これまでパケット定額すらなかった私がそんなものを手に入れたらのめり込まないわけがなく、いろんなことをして遊びました。


そんなとき、ふと思うのです。
「あの青い鳥のSNS、アプリはないのかな?」

今でこそ公式アプリがありますが、当時はWebしかないサービス。
そんなサービスをより使いやすくしようと、当時のApp Storeにはありとあらゆる……とまではいかないものの、様々なアプリが存在しました。

アプリが存在することを知ったので、初めはホームページの宣伝を兼ねてやってみようという気持ちで登録。

当時の投稿画面には「What are you doing?」の文字が。
記念すべき初投稿がこちら。

日本語で「何してる?」と聞かれたので素直に答えていますね。かわいいね。
この後、みんなそんな文言を無視して好き勝手に投稿しているのを見て、「別に何しているのか書かなくてもいいんだー」と思ったのを覚えています。

それから、私は青い鳥のSNSにのめり込んでいくことになります…。

廃人の足湯

時は流れて2010年。先ほども書いたように、まだ公式アプリというものは存在しません。
公式アプリが存在しないということは、”通知”もないわけで、つまり、返信が来ても”お気に入り”が来ても、見に行かないとわからないのです。

今では当たり前のように使われている通知ですが、それがないのはもどかしい。
特に、返信やQT (非公式RT) はできる限り見逃したくないわけです。

それを独自に解決しようという試みをしているアプリはいくつかありました。
大きく分けて2種類あったのですが、どちらにも問題がありました。

  • アプリのみで完結するタイプ
    • 常時アプリが起動しっぱなしなのでバッテリーがすぐなくなる
  • サーバー側で処理するタイプ
    • プッシュ通知で届くのでバッテリーにはやさしいけれど、サーバー運営費の名目で有料アプリだったり月額費用が発生したりした

モバイルバッテリーはすでに普及していましたが、その多くがガラケー向けでパワーが足りない時代、バッテリー残量は死活問題です。
そして、ナウでヤングな私には、課金はちょっと難しい。これは困りました…。


そんなとき登場したのが「Boxcar」というサービス。
アプリをインストールしてログインするだけで、通知をしてくれるサービスです。
しかも無料!!!!なにそれ神か?????

こうして沼に片足を突っ込むことになるのです……。

………が、時は流れて2011年。ここで転機が訪れます。

Boxcarが某情報サイトに掲載されたためか、サーバーが落ちているとか応答が無いとかで、Boxcarからの通知が届かなかったり遅れたりという不具合が目立つようになります。

もう私は沼に片足を突っ込んでいる人間。通知が正確じゃないというのは許容できないのです。
ナウなヤングではなくなりかけているので課金はできる。でもBoxcarには課金というものはない。
万事休す。


……ということもなく、とある情報を見つけます。

自分で好き勝手に動かすことができるサーバーがあれば、サーバーでリアルタイムに通知をチェックして配信してくれるサービス。
その名も「TwiProwl」。

TwiProwlはそれ単独で動くアプリではありません。
「Prowl」という通知をiPhoneに配信してくれるサービスを利用し、そこに通知の情報を配信するのが「TwiProwl」なのです。

幸か不幸か、当時の私は「玄箱」というNASキットを改造してサーバーとして使っていました。
そのサーバーにTwiProwlをセットアップすることにしたのです。

当時は中身をスーパーファミコンの中に押し込んで遊んでいた

ついでとはいえSNSのためにサーバーを動かす。いやー、もう立派な廃人ですね。
気付いたら沼に両足を突っ込んで足湯のようになっていた、というわけなのです…。


ちなみにこのサーバー、のちに電源故障でお亡くなりになるのですが、その後継として資生堂のお肌チェックPCを使ったりなど様々な遍歴を重ね、最終的にはブログを公開するサーバーになります。
そう、今あなたが見ているこのブログのことです。

TwiProwlがなければこのブログももしかしたらなかったかもしれない…?

ひとつの嘘とひとつの裏切りと

それから数年。Twitter社がとあるiPhoneアプリを買収したことをきっかけに、公式アプリが誕生することになります。が、それはみんな知っていることなので割愛。
もう少し個人的なことを深掘りしていこうと思います。


何年もSNSをやっていれば、様々な出会いと別れがあります。

アニメやゲームをきっかけに友だちが増えていくSNS急成長時代。
ナウでヤングではなくなったとしても、友だちが増えたり親密な仲になる人が出てきたりして、私にも遅れて青春と呼べるような時期がやってきます。

あの日のDM。あの日のLINE。細かい内容は覚えていないにしても、どんな気持ちで大切な人とやりとりをしていたかは覚えています。

たとえそれが、そのうち後悔することになることだったとしても……。


いくつかの出会いと別れを繰り返し、浮気や裏切りを経験し、たった数日で友人のほぼ全てを失ったこともありました。

裏でレイプ犯と言われ、毎日のように攻撃され、2ちゃんねるに晒され、食べることも息をすることも苦しい毎日。
状況的に警察に頼ることもできず、ただひたすらに耐えるだけの毎日。

そして頭によぎる“死”というキーワード……。


もしここでSNSをやめていたら、きっと私はこの世にはいません。
たった数人の、本当に信頼できる人の支えによって、この状況を乗り越えることができたのです。
いや、もしかしたら度胸がないだけかもしれませんが……。

未だに私のことをそういう目で見てそういう風に扱う人もいます。
でも、もう気にしません。

うそはうそであると見抜ける人でないと(SNSを使うのは)難しいのです。

<突然の死>

2023年のことでした。とある事件が起こります。
アメリカの富豪が突如としてTwitter社を買収してしまいます。

はい。たったそれだけです。なにも起きなければとくに何も影響はないですね。

そう、何も起きなければ、ね。


この買収は単なる予兆に過ぎませんでした。

たび重なる制限、青い鳥のSNSが大きく普及するきっかけとなった非公式アプリの根絶……

そして……

_人人 人人 人人_
> 青い鳥の根絶 <
 ̄Y^Y^Y^YY^Y^Y^Y ̄


ゆっくりと、ゆっくりと、慣れ親しんだ世界が消えていきました。
そこに青い鳥はもういない。そこにあった青春はもう存在しない。

そして私はひとつの決断をします。

旅立つこと。

あなたへ

うれしいことも、かなしいことも、すべてを見てきた青い鳥へ。

さようなら。

いつか空の上で、くじらと一緒に会おう。

約束だよ。

コメント

  1. @john やすらかにねむれ…

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